クロが2階ベランダから脱走した。
クロというのはうちで飼っている6匹ニャンコの中の1匹の名前で、脱走常習犯のお転婆娘。
洗濯を干している最中など開いた窓から隙を見てシュッと逃げ出すのだ。
ベランダから屋根をつたって塀に飛び移り上手に地上へと降り立つ。
長い時は一晩中帰ってこない時もあるが、殆どが数時間後にニャゴニャゴ鳴いて戻ってくる。
まあ、今回もそのうち帰ってくるだろうと思って日課のジョギングに出掛けた。
約1時間後8キロ走ってきてハアハアしながら家に入るなり、「クロちゃんが大変なの!」と家の者に呼ばれ、慌てて駆けつけるとクロがテーブルの下でぐったりしている。
聞くと、脱走して数時間後に中に入れて欲しい様子でクロが1階の外にいたので窓を開けた。
いつもならジャンプして入ってくるところ、腰を上げられないような状態のままだったので抱き上げて中に入れてあげたとのこと。
「クロ!」
呼ぶとだみ声で「ニャア・・」と小さく返事をした。
病院に連れて行くため、クロをテーブルの下から引きずり出すと、痛かった部分に触れたのか
「フギャーー!」
と大きく叫んで私の手を思いっきり噛んだ。
クロは今まで人を噛んだことがないやさしい猫なのだが、この時は初めて全力で噛まれ恐ろしく痛かった。
噛まれたままクロの全身を眺めたが、外傷らしきものは見当たらない。
前足は何とも無いようだけれども、後ろ足が歩けないようで、床に置くとすぐペタンと座ってしまい腰くだけな状態になってしまう。
クロをそのままキャリーに入れた。
噛まれた痕はポッカリと大きな穴が開き、血がボタボタと止まらない。
さてうちでは「あむーる動物病院」というかかりつけの病院があるのだが家から少々遠くにあるので、交通事故だと早くしないと大変なことになると思い仕方が無く近所の初めて行く動物病院へ次女と連れて行くことにした。
そこでレントゲンを撮り触診をしたが「折れている様子はないが、もしかしたら折れているかも」というよくわからない診断を頂き、更にもし折れていたとしてもここでは設備がないので手術できないという。
やはり大きな病院で診てもらった方がいいとのこと。
消炎剤と抗生物質の注射を打ってもらい、錠剤の痛み止めを1週間分もらう。しめて1万数千円。
この日はこのまま家で様子を見ることにした。
子供の寝室にクロの大好きなふかふかベッドを用意し、近くにはいつでも行けるようにトイレを設置。
この日、クロはエサも食べず、水も飲まず、トイレも行かず、翌朝まで寝て過ごした。
つづく